良い中古マンションの見分け方−現地見学ではここを見よう−

不動産コラム

新築のマンション価格が高騰していることもあり、中古マンションを選択肢に入れてマイホーム購入を検討する方が増えてきました。

中古マンションの最大のメリットは「立地」です。購入を希望しているエリアや沿線・駅に絞って、物件を探していくことで、お気に入りの物件が見つかるかもしれません。

成熟した市街地の中心部分では、新築マンションを建設するための用地を確保することが難しいため、立地の優れた新築マンションはなかなか供給されません。

希望条件を満たす新築マンションの発売を待つだけではなく、中古マンションにも目を向けていけば、あなたに合ったマイホーム購入に近づけるのではないでしょうか。

今回は、中古マンションを探す時に絶対に外してはいけないポイントについてお話しします。

室内よりもまずはココを見よう!

希望するエリアにお目当の物件を見つけ、さあ実際に現地見学だ!という日。部屋の内部に入る前に必ずチェックしなくてはならない場所があります。それは「共用部分」です。まずはマンションの顔となるエントランス周り、そして廊下や階段、エレベーターなど、そして外壁です。

この中でも建物自体の寿命に関わる大切な部分が「外壁」です。ぐるりとマンション周辺を回って外壁をくまなく見てみましょう。昨今のマンションの外壁はタイル貼りが主流ですが、そのタイルが浮いていたり、剥がれている箇所はありませんか?また、クラックと呼ばれるヒビ割れなどもないでしょうか?

外壁タイルの浮きやはがれの原因は「経年劣化」「不良工事」「地震の影響」などが考えられます。
外壁タイルは、躯体のコンクリートを劣化から守る役割がありますので、浮いた状態やはがれたままにしておくと建物の寿命を短くし、資産価値の低下を招くことになります。
また、外壁タイルがはがれて落下する事故が発生すると管理組合として責任を問われることにもなりますので、十分に注意が必要です。

物件見学の際に、外壁タイルの浮きやはがれが見つかったら、そのマンションの管理組合が状況をきちんと把握しているかを確認する必要があります。
不動産会社の担当者を通じて、マンション管理組合に問い合わせてもいいですし、管理員の方が常駐していれば直接尋ねてもいいでしょう。
ヒアリングの結果、「状況を把握していない」「対処する予定もない」ということでは、管理状況に問題があると考えて間違いありません。
このような管理運営をおこなっている中古マンションは、残念ではありますが検討対象から外した方が無難かもしれません。

他にも廊下や階段などの共用部についても、確認が必要です。新築当初から徐々に経年劣化していくのは、すべての建物で共通の宿命ですが、下記のような状況を放置しておくと、着実に建物の寿命を縮めていくことになります。
・一定の幅や深さがある「ひび割れ」
・白い粉状カルシウム成分が浮き出る「エフロレッセンス」(白華現象)
・「雨漏りや水漏れ」などコンクリート内部の鉄筋から茶色い錆び汁がしみだしている現象

これらの不具合は時間が経過するほど修繕コストは膨大になってしまいますので、早期発見、早期対応に越したことはありません。

ちなみに、2018年4月からホームインスペクションの説明が義務化されましたが、この診断で分かるのはあくまで「専有部」についてのみですので注意が必要です。

掃除が行き届いているか?で分かること

次に、エントランスやメールボックス(集合郵便受)、駐車場・自転車置き場、ゴミ置場などの清掃具合を見てみましょう。ゴミや投函物がちらかっていたり、収容台数より上回る自転車が煩雑に置かれていたりしないでしょうか。管理員の清掃が不行き届きであることは明らかですが、こうした風景が日常化しているとしたら、それを許容している管理組合=入居者の関心が低いことの証明になります。また掲示板に古いお知らせが貼られたままだったり、掲示物が破れていたりしていないかもチェックポイントです。自分たちの資産であるマンションを、維持・管理していこうという姿勢が伺える場所です。

長期修繕計画、管理組合総会の議事録を見せてもらおう

中古マンションの契約をする前には、必ず「長期修繕計画」を必ず見せてもらいましょう。新築当時に売主が作成しているはずですが、「修繕積立金」が今後どのように値上がりしていくかが分かります。販売当初は必要経費を抑えるために低い金額設定になっていますが、通常は5年毎くらいで見直しが入り徐々に右肩上がりになって行きます。場合によっては、「一時負担金」というまとまった金額を徴収予定と記されていることもあります。購入しようとする時期が、大規模修繕の前か後かでも出費が変わってきますので、見落としのないようにしましょう。

また、これまで計画通りに修繕積立金が積み上がっているか、滞納などがないかも重要です。積立金滞納がないマンションの方が少数派かもしれませんが、大事なのはその事実に対して管理組合がどういった考えで、どんな対応をしているかを知っておくことなのです。

管理組合総会の議事録では、これまで議論された問題点やその解決方法が記録されています。マンションの管理や修繕について、入居者の姿勢を伺い知ることが出来る資料です。

そして、こうした情報をきちんと教えてくれるかどうかもポイントです。情報開示はマンションの管理運営に自信があるかの判断基準にもなります。

中古マンションは、部屋の内部よりもまずは共用部分のチェックから始めると失敗が少なくなります。