【フラット35】にペアローンが登場!ライフスタイルに合わせて選択が可能に

不動産コラム

2024年10月、長期固定金利型住宅ローン「【フラット35】」において、ついに「ペアローン」の取り扱いがスタートしました。これまで【フラット35】では、夫婦や親子で住宅ローンを組む場合、「連帯債務」という形で収入を100%合算することが出来ていましたが、新たにペアローンが加わったことで、より柔軟な資金計画が可能になりました。

では、「連帯債務」と「ペアローン」は何がどう違うのでしょうか?それぞれの仕組みやメリット・注意点を比較しながら、どんな人にどちらが向いているのかを解説します。

連帯債務型とペアローンの違い

フラット35での従来の連帯債務型とペアローンでの違いをまとめると、以下のようになります。

従来の連帯債務型ペアローン
ローンの契約数1本
(主債務者+連帯債務者)
2本(夫婦それぞれ)
ローンの契約者
主債務者と連帯債務者
夫婦それぞれが
主債務者
団体信用生命保険主債務者
(もしくはデュエット)
それぞれが加入
諸費用
(手数料・印紙税
など )
1本分で済む2本分必要
借入可能額収入合算で審査それぞれの収入で
審査
住宅ローン控除持ち分に応じて適用可それぞれ最大限に
適用可

長年採用されてきた「連帯債務」は、主債務者と連帯債務者が1本のローン契約を結び、双方が同等の返済義務を負う仕組みです。収入を合算して審査を受けるため、単独では借りられない金額でも、夫婦の収入(パート社員の場合も100%合算可可能)を合わせることで希望額に届く可能性があります。

契約が1本なので、印紙税や手数料などの諸費用が抑えられる、デュエット団信(夫婦連生型)に加入すれば、どちらかに万一があった場合でも残債がゼロになる、住宅ローン控除も持分に応じて夫婦それぞれが適用可能というメリットがありました。一方で、デュエット型に加入していないと団信を利用できるのは主債務者のみ、離婚や別居時に債務の分離が難しい、借入期間が年齢の高い方に合わせて短くなることがあるというデメリットがありました。

ペアローンの特徴とメリット・注意点

2024年10月から【フラット35】で利用可能になった「ペアローン」は、夫婦それぞれが独立した住宅ローン契約を結ぶ仕組みです。たとえば、6000万円の住宅を購入する場合、夫が4000万円、妻が2000万円を借りるといった形で、2本のローンを同時に組むことになります。

ペアローンの場合の最大のメリットは、それぞれの収入に応じて最大限まで借り入れ可能になることと、住宅ローン控除も2人分フル活用できる点です。団信もそれぞれが別に加入できるので万が一のリスクに対応しやすくなります。契約が別なので異なる借入期間を選択することも可能です。例えば歳の差夫婦ではどちらかが35年、もう一方が20年といった返済計画も可能になります。さらに返済口座が分かれるため、どちらか一方の口座に資金を移動するような手間も省くことができます。

一方で契約が2本になることで、印紙税・登記費用・手数料が2倍になる、どちらかが審査に落ちると全体のローンが成立しない点には注意が必要です。また片方のローンが団信で弁済された場合にも、もう片方のローンの支払いは存続します。

どちらを選ぶべき?ライフスタイル別のおすすめ

上記を踏まえて、どちらの借り入れ方法が向いているのかをまとめると以下のようになります。

★従来の連帯債務型(収入合算)が向いている人

夫婦のどちらかがパート・非正規雇用である

諸費用を抑えたい

手続きや契約をシンプルに済ませたい

借入額はそこまで多くなくてよい

★ペアローンが向いている人

共働きで収入が安定している

借入額を最大限に増やしたい

住宅ローン控除を夫婦でフル活用したい

万一のリスクに備えて団信をそれぞれにかけたい

フラット35でペアローンが利用できるようになったことで、共働き世帯や親子で住宅を購入する人にとって、より柔軟な資金計画が立てられるようになりました。

連帯債務とペアローンは、似ているようで仕組みもメリットも大きく異なります。借入額を重視するのか、手続きの簡便さを重視するのか、将来のリスクにどう備えるか——それぞれのライフスタイルや価値観に応じて、最適な方法を選ぶことが大切です。

現在、フラット35取り扱い金融機関のうち、ペアローンを取り扱っていない金融機関があります。詳細はHPで確認してください。https://www.flat35.com/files/400371392.pdf