住宅ローンの「保証料型」と「融資手数料型」選ぶ際の注意点とは?

不動産コラム

マイホーム購入の際に必要な諸費用は、住宅ローンを借入するかしないかで大きく違ってきます。資金計画書に書かれた項目を細かく見てみると、住宅ローンの借入れにかかる費用が割合を占めているのが分かります。その中で数十万円~百数十万円と一番高額になるのが、「保証料」や「融資手数料」(融資事務手数料)と呼ばれる費用です。実は「保証料」と「融資手数料」では内容が全く異なります。金融機関や選ぶ住宅ローンの書類によって、保証料型か融資手数料型かが決まるのです。今回は、「保証料」と「融資手数料」の意味、メリット・デメリットについて解説します。

「保証料」の中身と特徴

「保証料」とは、住宅ローンを借入する際に保証会社に支払う費用です。昔はお金を借入する際に「連帯保証人」を必要としていましたが、住宅ローンのように高額で長期に渡るものには段々と保証人を立てることが難しくなりました。その代わりとなったのが保証会社で、万が一返済が不可能となった際に、金融機関に対して弁済する機能を持っています。(弁済されても住宅ローンの支払いがゼロになる訳ではなく、保証会社に対しての返済が残ります。)

保証料は通常、借入金額と期間に比例して高額になります。そして、支払い方法には「一括前払い」と「金利上乗せ(分割払い)」の2種類があります。

「一括前払い」は文字通り、引き渡し前の諸費用として全額を支払います。「外枠」という言い方をすることもあります。

一方の「金利上乗せ」は毎月の住宅ローン返済の金利に0.2%上乗せして支払います。「内枠」という言い方をすることもあります。自己資金があまりない人にとっては初期費用を抑えることが出来るのがメリットです。しかし一括前払いする代わりに借入期間で分割払いする方法ですので、金利0.2%上乗せ分も考慮して資金計画を立てましょう。

「融資手数料」の中身と特徴

融資手数料とは前述の保証料とは異なり、金融機関に対して支払う手数料になります。ネット銀行やフラット35など保証会社を持たないタイプの住宅ローンでは「融資手数料型」しかありません。

また融資手数料には「定額タイプ」と「定率タイプ」の2種類があります。定額タイプは借入金額に関わらず、一律で33,000円、55,000円などとなっています。一方の定率タイプは「借入金額×2.2%」というように、借入金額に応じて金額が決まるタイプです。

当然、定額タイプの方が諸費用としては少額になりますが、金利で0.2%程度上乗せされることがほとんどです。そういった意味では保証料の金利上乗せタイプと似ている面がありますが、融資手数料そのものは保証料内枠方式のような分割払い方式はないため、引き渡し前に一括で支払わなければなりません。

最近では、ネット銀行の住宅ローン商品に対抗するため一部の都市銀行の住宅ローンでも「融資手数料型」の商品が出てきました。しかし誤解してはいけないのは、審査はこれまでと同様保証会社が行なっています。また、抵当権設定も保証会社が行なっています。費用の名目は変わっても、発生する諸費用に変わりはありません。

「保証料型」と「融資手数料型」お得なのはどっち?

どちらも同じような金額がかかるのに、住宅ローンの商品として別になっているのはなぜなのでしょうか?

「保証料型」と「融資手数料型」での大きな違い、それは一括完済したときに「戻し保証料」があるかどうか?この部分が非常に大きいと言えます。例えば保証料型(一括前払い)で35年返済で借入れした住宅ローンを、20年後に一括完済したとします。この場合に、不要となった残り15年分の保証料が返金されるのです。住み替えなどでまとまった資金が入る予定がある、退職金で一括完済する予定があるといった場合には、保証料型を選んだ方がお得になる場合があります。融資手数料型では途中で完済した場合にも、戻ってくるお金は一切ありません。

また保証型と融資手数料型とでは、そもそもの融資金利にも差があります。一般的には融資手数料型の方が金利が低く設定されています。

しかも融資手数料型では期間の長短によって差がないため、途中で繰り上げ返済の予定がなく長期間で支払う予定の人にとっては、総額で考えると保証料型よりも安くなる傾向にあります。

どちらがお得か?は利用する人によって違う、と言えます。

住宅ローンを選ぶ際には「支払い総額」で

住宅ローンを決める時にはついつい金利や支払い金額に目が行きがちですが、保証料型を選ぶか融資手数料型を選ぶかで諸費用を含めたトータル金額に差が出ます。

途中で繰り上げ返済をする予定があるかなども含め、「支払い総額」を意識して比較検討してみましょう。