「安い」だけで選ぶと危険!変動金利のリスクを知っておこう②

不動産コラム

前回は変動金利の「返済額5年縛り」と「1.25倍ブレーキ」がテーマでした。
これらのルールのリスクについて、続きをお話しします。

金利が右肩上がりに上昇している局目でこの1.25倍までで返済額を抑えるというブレーキが掛けられると、本来ならそれ以上に支払うべき部分が存在します。
次の5年間で本当なら15万円支払わなければならなかった場合、2万5千円ショートしている事になります。今回免除されている部分は「支払わなくていい」のではなく、ただ単に後回しにされているだけです。

この後回しがさらに次の5年間、また次の5年間にもあったとしたら・・・
さらに金利が上昇し続けて、毎月の支払いが利息ばっかりを払っている事態となったら・・・

現実的にはあり得ないかもしれませんが、常に金利が右肩上がりの上昇を続けた場合、最悪35年間で支払い終われないことも考えられます。
これは制度上起こり得る可能性がある、というお話ですが、バブルの頃の様な金利上昇が起こると現実になってしまうかもしれません。

低金利時代だからこそ、今後の金利上昇を見据えて銀行側は「変動金利」を勧めてくる、とも考えられます。

溜まってしまった未払い利息はどこへ?

では先程の、後回しになった未払いの部分はどうなるのでしょうか?

これは金融機関の規定によって異なりますが、「最終回に一括払い」もしくは「支払い期間の延長」などによって当然ながら支払うことになります。
「もし35年で支払い終わらなかったら」という件について、借入れをする時にあまり気にする人はいませんし、ローンの契約時にこの件を詳しく話してくれる銀行員もあまりいないでしょう。
ただ返済額が安いから選ぶのではなく、変動金利の大きな特徴である「返済額の5年縛り」と「1.25倍ブレーキ」の特徴とリスク、これをしっかりと分かっておいて頂きたいのです。
もちろん、金利が下がる局面においては元金が早く減って、返済額も見直しの際に安くなるケースもあります。

余談ですが…
とあるネット銀行の変動金利タイプでは、この「5年縛り」「1.25倍ブレーキ」ルールが設けられていません。
このルールが無いとなると、金利上昇の際、返済額が上がる事に対して何も措置が取られていないことになります。上限なく支払い額が上がってしまう可能性があるのです!
ネット銀行の住宅ローンは手数料が安いため利用を検討する人が増えていますが、借入れ申込みをする際にはきちんと規約を読み、「こんなはずではなかった」「知らなかった」とならないよう注意しましょう。

「損得」で金利タイプを選ぶのは間違い!

実は「住宅ローン」は、株や投資信託と同じ“金融商品”のひとつにすぎません。
支払い終わってみなければ、「損だったか、得だったか」は判断出来ないものなのです!
支払いが終わった30年〜35年後の未来に、世の中の金利がどう動いてきたのか、あなたがどの金利タイプを選択して支払ってきたのか、これを総合的に見ることでようやく「お得度」が判断出来るのです。
まだ支払いが始まってもいない今、「損か?得か?」を考えても答えが出ない、これが結論です。

では何を判断材料にして金利タイプを選ぶべきなのでしょうか。

それは、「自分に合っているか」という観点です。

金利タイプにはそれぞれ、長所と短所があります。
その時の経済情勢によって、クローズアップされる良い点は変わります。
住宅ローンは長期間に渡るものですから、自分のこれからの人生設計をベースに考える必要があります。
例えば、まだ20代後半から30代前半の若いカップルやファミリー層と、子育てがひと段落したシニア世代とでは、住宅ローンを支払う期間の「人生のイベント」が全く違いますよね。
もしも変動タイプを選んだ場合、これから10年以内に教育費がピークを迎える若年ファミリー層にとっては、思いがけない金利の上昇で支払い金額が高くなってしまうのは最も避けたいところです。これからのライフプラン、ライフスタイルに合わせて住宅ローンを選択すれば、途中で「こんなはずではなかった」という事態になる可能性は低くなります。

変動金利は上がるかもしれないし、上がらないかもしれない。
もちろんそうなのです。10年後の金利がどう動くかなんて誰にも予言出来ません。
ただ、もしも上がった時にどう対応するのか、が重要なのです。

・貯蓄が十分あるので切り崩してしのぐことが出来る
・まとまったお金が入る予定があるので一括で完済出来る
・逐一繰り上げ返済をして早目に終わらせる

など、「変動金利に向いている」方もいます。

是非「自分達のこれからの生活に合っているかどうか」に焦点を当てて住宅ローンを選んでみて下さい。そうすると、少し答えが違ってくるかもしれません。

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