「資産価値」=「価格」ではない!資産価値の正しい意味とは?

不動産コラム


「マンションを探す時には、資産価値が高い物件を買うべき」とよく言われます。「資産価値」いう言葉を聞くと、「物件価格」そのものだと思っていませんか?

そういう人は「将来売却する際に、買った時よりも高く売れるマンションが資産価値がある」と考えがちです。本来「マンションの資産価値=価格」ではなく、別の意味合いがあります。

将来高く売れる=資産価値がある?

バブル景気の頃には不動産価格が高騰し、短期間で売却して利益を得ることが普通に出来ていました。この頃の異常な取引を知っている人には、「価値がある不動産は、将来売却した時に高く売れるもの」というイメージがついたのかもしれません。買った時の値段よりも、将来高く売れるのが資産価値が高いわけではないのです。

現実的にはマンションも戸建住宅も完成した瞬間から原価償却が始まり、価値は減少していくのが一般的です。価格は下がって当たり前なのです。

従って、資産価値を考える際には『他の物件と比べた時ににどれだけ「価格」の目減りが少なく抑えられるか』という視点で考えることが重要になります。

「資産価値」とは一体何なのでしょうか

資産価値=価格ではない、となると資産価値とは一体何なのでしょうか。

不動産の価格は経過年数とともに下がります。資産価値とは、「将来にわたって、他の物件と比較したとき価格を維持するための要素」です。つまり、建物が完成した後からは簡単に変えることのできないその物件の「スペック」、とも言えます。

変わらないものと言えば、マンションであれば敷地の広さ、戸数や規模、タワー型か否か、といったハードの部分です。また、個別の専有部分についても㎡数は変わりません。対して、内装や間取りなどは後々規約に反しない範囲で変更することが出来るのでソフトの部分と言えます。

立地や環境に目を向けると、駅までの距離や買い物の利便性、学校などの教育施設も大きく変わることはありません。まれに、新駅が出来て駅前物件になる、大型ショッピングモールが出来て便利になるなど、開発が進んで人気エリアに変貌することがあります。こうした計画が事前に判明している場合には将来性を買うことになりますが、すでに街として成熟したエリアよりも郊外や再開発エリアでの話になることが多いでしょう。

こうしたスペックが好ましい住宅は、長年便利で快適に住み続けるための『要素』が多く備わっています。販売当初から人気が高く、将来の値下がりリスクが他の物件より低いと考えられるのです。

「徒歩10分」の先入観

「要素」の中でも、立地に関する項目は非常に重要なポイントとなります。例えば『駅徒歩10分を超えると、資産価値がぐっと落ちる』などと聞いたことはありませんか?重要ポイントとして着目すると、10分という数字ががひとつのボーダラインになっている風潮がありますが、10分を超えると資産価値が無くなることは決してありません。

例えば駅徒歩10分少々掛かるけれど、途中に商店街があり帰り道に買い物が出来るA物件。一方、駅まで徒歩5分に位置していても周辺に商業施設がほとんどなく、買い物はA物件側まで遠回りしないといけない駅の向こう側のB物件。

駅までの距離だけで比較すると断然B物件となりますが、日常的に便利の良い生活が送れるのはA物件ではないでしょうか。

しかも徒歩の計算は不動産業界の慣習で「1分=80m」で算出されています。地図上では10分でも、実際には坂道があったり途中の信号や踏切で足止めされる時間は含まれていません。大切なのは、実際どうなのかを確認することです。しかも駅までの近さは地域によっても差があり、鉄道よりもバス便が発達している地域も沢山あります。

徒歩分数は、あくまでもスペックの一部に過ぎないことを念頭に置きましょう。ただし、将来その住宅を売却する可能性がある人に限っては、流通性というポイントにおいて徒歩数分は重要度が非常に高くなります。

あなたにとっての「資産価値」を見つけよう

駅近のデメリットは、人通りが多く繁華性が強くなることです。静かな住環境を求める人にとっては、かえってマイナスポイントとなります。利便性を求めすぎると反対に住宅地としての静けさ、公園や広場といった子どものための施設の充実度、日当たりや眺望などは諦めなくてはなりません。

資産価値を決める要素は、人それぞれ優先順位が異なります。あなた自身にとって、快適で幸福な生活を送れる住宅こそに「資産価値」があるのです。簡単には買い替えることが出来ない住宅であるからこそ、「自分にとっての資産価値」を見極めましょう。