知らないと損!住宅ローンの「借り換え」はここに注意

不動産コラム

住宅ローンの借り換えの最大のメリットは、金利が下がることによる返済額の軽減です。毎月の負担額を下がり、トータルで支払う利息も大きく下がります。特に2016年以前に住宅ローンを借り入れした人にとっては数百万円の差が生まれることもあり、検討の価値があります。ただ、こうした住宅ローンの借り換えはメリットばかりが先行し、その裏に潜んでいる注意点を知らずにいると逆に損をしてしまうこともあります。

今回は、借り換えをする前に押さえておくべきポイントを解説します。

年齢が上がることによるデメリット

まずは当然のことながら、借換えをする時点では最初に住宅ローンの借り入れした時よりも年齢が上がっています。借換えをするということは、新たな住宅ローンを借りることになりますので、1回目と同様の「審査」を受けることになります。通常、今返済している銀行では住宅ローンの借り換えは認められていません。なぜなら、銀行にとっては、より低い金利で住宅ローンを提供することに何のメリットもないからです。ですから、今まで返済していたところとは別の金融機関の住宅ローンを打診することになります。(一つだけ例外があり、フラット35では同じ金融機関での借り換えが可能です。つまり今のフラット35から、より低金利のフラット35へ変更することが出来ます。)

再審査を受けるということは、収入や勤続年数についてもう一度クリアする必要があるということです。まだまだ若い現役世代であれば、以前よりも年収が上がっているケースが多いでしょう。反対に50代以上になると、年収が下がってしまうケースもあります。一度定年を迎えて再雇用で働いている人は年収が大きく下がってしまい、返済負担率オーバーで審査に通らないこともあります。さらに定年までの年数が短いと、定年後の返済計画についてかなりシビアに聞いてきます。退職金や預金残高など、しっかりした資産がないと「いずれ返済不能になる可能性大」と判断され、否決されていまします。

ライフステージの変化によるデメリット

借り入れ当初、夫婦ペアローンで住宅ローンを組む人も多いでしょう。結婚を機にマイホームを購入した人たちは、妻が出産し子育て時期に入っている場合に、年収が下がってしまっていることがあります。もちろん、産休・育休中でも審査可能な金融機関はたくさんありますので諦める必要はありません。ただ、退職してしまっている場合には、借換えの審査を受けることが出来ません。残高全額を夫一人の年収で借入できれば問題ありませんが、返済負担率内に収まるかをしっかり検証する必要があります。

また、「最近転職した」「最近独立して起業した」という人も注意が必要です。転職の場合は、オファーレター(今後の年収が確認できる書類)や転職後の給与明細書・賞与明細書を提出することで審査可能な場合もあります。1年以上経過していればより審査に通りやすいのですが、これまでよりも年収が下がってしまうと厳しくなります。

収入の安定性と継続性を重視されてしまうのは、新規借り入れも借換えも同じ条件です。

なお、会社員から独立して個人事業主になった場合は「3期分の決算書」が必要となるケースが多いので要注意です。会社員の転職と違い、最低でも3年以上の事業継続が必要なのです。確定申告と決算書の提出が必須となり、黒字経営であることが大前提となります。しかも、年収は「収入金額」(売上)ではなく「所得金額」で判断されることになります。事業開始当初は、多額の経費計上で所得金額を下げて節税するのがセオリーですが、住宅ローンを借りる場合には3年単位で計画的に確定申告することをおすすめします。

健康状態の変化によるデメリット

住宅ローンには団体信用生命保険の加入が必須です。住宅ローンの借り換えを行うと、団体信用生命保険も新しい保険に入り直すことになります。近年、各金融機関の団体信用生命保険は保障内容が充実していますので、借り換えすることで保障が手厚くなるケースもあります。反対に加入者の健康状態が変化して団信に加入できない場合には、そもそも借り入れ自体が頓挫してしまいます。また持病によって「ワイド団信」しか加入できない場合には、金利が上乗せになってしまい返済額が多くなることもあります。

さらに50歳を超えての借り換えでは「がん保障」付きの団信には加入できません!借り換えをすることで、団信の内容が悪くなってしまう場合にはしっかりと保険の見直しをしましょう。

このように金利の安さ・返済額の減少だけに注目して借り換えをすると、逆に損をしてしまう場合があります。借り換えをする際には、今一度チェックしてから踏み出しましょう。